子どもを産み、赤ちゃんを連れて外出するようになったとき、初めて、トイレにベビーチェアがあるだけではダメなのだと知った。

ベビーチェアは、腰が座ってからしか使えない。
そして、ベビーチェアでは、おむつ交換はできない。

設計者として、トイレブースにベビーチェアを設置するだけで、赤ちゃん対応できたと思ってはいけないことを実体験から学んだ。

某子育て支援センターのトイレでは、ベビーベッドを広げると、ベビーベッドが便器の上になるので、母親がトイレを使用することができなかった。(最近は子どもが大きくなり行っていないので、今もそうかはわからない。)

私はその時仕方なく、スリングで赤ちゃんを抱っこしたまま用を足した。

「想像力」だけでは、なかなか辿り着けない不便や苦労がそこにはあった。

では、より良い社会に変えて行くために何が必要かと言ったら、やはり、さまざまな立場の人たちが交流し、それぞれの体験を分かち合うことなんだろうな。

同じ「子育て経験者」でも、「離婚経験者」でも、その人が置かれた立場で、感じてきたことや不便や苦労はまったくちがう。

同じ「不登校の親」でも、「支援級の親」でも、「通信制高校に子が通う親」でも、
みんなみんなちがう。

そのことを、忘れてはいけない。